著者は齋藤孝氏です。
本書では、議論の方法として指針が書かれているので、紹介します。
ディベートの五つの鉄則
- 主張するものは証明すべし
「相手の主張の根拠は何か」
「データ・証拠と相手の主張は正しく理由づけされているか」
を確認したり、自分が主張するものには証明できるもの、根拠が必要といったことです。
- 「言わなかったこと」は、「意見がない」「反論がない」と同じこと
要は、沈黙は同意を意味するのです。同意をしたくないときは、意見を積極的に言う姿勢が大切です。もちろん、揚げ足取りのようなことを慎むべきだと思いますが、「何かおかしいな?」と感じたときには、「~ということについて、詳しく教えてください」と言いたいですね。
- 自身の主張については論理を一貫させ、建設的な意見を述べていくことも必要
- 人格と議論を切り離す
人格攻撃はご法度です。
- 意見と事実を切り離す
主張には意見と事実が入り混じっています。だから、どこまでが事実で、どこからが意見なのかを正確に見定めなくてはなりません。もし、見定めることが難しかったら、相手へ質問をします。
議論における規則やルール
- 主張と根拠をペアにする。意見を言うときは、必ず理由も言う。
- 相手が自分の質問に答えているかを確認する
自分がした質問を覚えておきます。相手が自分の質問に答えていないときは、もう一度聞きます。
- 論点のシフトに注意する
自分たちはこの議論をすることで「何をしたいのか」を頭に入れておかないと、論点が途中でずれてしまいます。
- 議論の対立軸を見極める
具体的に、何に対して、どこの点で意見が対立しているのかを注意します。
- 議論において一度に提示する主張は一つに限る
- 質問と主張を同時にしない
質問は質問として言い、主張は主張としていうことですね。
質問は前置きをせずに、簡潔にします。
議論の作法
- できるだけ相手と違う立場に立ちます。
- まず考えるべきテーマを設定します。実のある議論とするためには、具体的、かつ明確なテーマを設定して、それについて議論を勧めます。
- 人の意見に対して異論がある場合、反対意見を述べるだけでなく、「対案を出す」ことにします。対案とは、「対立した意見」ということではなく、別のアイディアのことです。
- 時間感覚を持ちます。一人が一回にする発言の時間を15秒までといったようにします。
- 後戻りを禁止します。ホワイトボードといったものを用意して、共通認識に達したらそれをきちんと書き出すことにすれば、議論の後戻りを防げます。
反論は議論の本質である
「あらゆる主張・意見には必然的に対立する意見がある」ことを認識して、反論の否定的なイメージを拭い去ります。
討論で効果を挙げるためには、その参加者が討論の技術を身につけているときだけです。最も大切な討論の技術とは、何よりもまず相手の主張に反論できる技術に他ならないのです。
意見をお互いに否定しあうことによって、より高次の意見に止揚する。これができなければ、いくら長時間討論させたところで、異なる意見がたくさん並存するだけとなってしまいます。
反論する技術において、まず相手の「主張と根拠を確認する」作業から始めます。
反論をだすときは、「Aがあるのだったら、Bという意見も当然出てきますね」といいます。
反論の技術の高度な利用例として、自分の主張に反対してみます。自分の中に論敵を置き、いったん自分の内部で戦わせる習慣を身につけることで、議論を通じて自分自身をより成熟させていくことができるのです。