著者は、マーケティングの専門家のようです。
本の読み方をメインにご紹介します。
それでは早速始めます。
線の思考と面の思考の違い
本を読む時に、目で追っている文字の列は「線の思考」で認識しています。
今まで読んできた内容を覚えていて、今まさに読んでいる文章の全体意味を把握しようとするのが「面の思考」です。
「線の思考」は、時間とともに順番に現れてくるものを認識する能力です。論理的な順番に時間を費やして進んでいく思考のタイプです。
「面の思考」は、時間を必要とせず、一瞬にして把握する能力です。分析しなくてもはっきりと感じることのできる直観力が「面の思考」です。
「線の思考」とは論理的な思考で、客観性があり、他人と容易に共有できる思考の原理です。
「面の思考」とは感性的な思考で、主観的で個別性の高い思考の原理です。
自分を超える本の読み方
「線の思考」で、思い込みによる表面的な読み方を排除
↓
「面の思考」で自分なりの意味を構成
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著者の示しているレベルの高い意味へと一致させていく
その1 分からないことに気づく
分からないことに出合ったとき、分からないこと自体に気づく力が必要です。
本を読む時に注意力を発揮して、いちいち考える習慣をつけることです。
同じ文章を何度も何度も繰り返し読むことです。こうした練習を積むことによって、文章の中にある「自分が知らないことが書かれている部分」に敏感になることができます。一行の文章でも、一つの言葉でも、自分にとって意味がわからないものには立ち止まって考える習慣がつきます。
その2 目前の情報と全体の俯瞰で読む
文章の出発点をしっかりと見極め、次の文章がそれを肯定しているのか否定しているのか、次の文はその方向をさらに延長しているのか、逆の方向に進んでいるのかと、文章の起伏を追いかけて行って、文章に地図をつくることです。
その地図につき合せながら、もう一度最初から文章を読みなおして文章の意味をつかんでいくと、自分が全体のどの位置にいるかを確認しながら文章を読めるということです。
「線の思考」で目前の文章の意味を捉えながら「面の思考」で全体の地図を描いていく、という作業をしながら読むということです。
読書には、読み進めつつ読んだことを記憶していく、という同時作業が必要です。
意味をたどる「線の思考」だけでなく、「線の思考」で読んだことを「面の思考」で短期的に記憶して構造化しながら読むと、文章の内容を長期的に記憶することができます。
その3 文章を暗記する
どうしても分からないものがあるときは、その文章を理解するには自分に足りないものがあるということです。そのような文章を暗記します。
暗記すると、自分の頭の中に文章の全てを取り入れてしますので、文章の冒頭と末尾を頭の中で同時に比べたり、文章の中にある言葉を拾って独自のストーリーをつくったり、「面の思考」を働かせて文章の意味を操作できるようになります。
本の内容を操作可能な状態で頭の中に持っておくと、それを理解するきっかけが訪れたときに、即座に脳が反応してくれるのです。
その4 著者を信頼して自分を預ける
自分が読んでもわからない本に出合ったとき、著者を信頼して、著者の使った言葉を信頼して、自分を完全に預けるのです。
自分を預けるということは、一時的にせよ自分が信頼している考え方をやめてみるということです。そして、相手の考え方のために時間を使うのです。
その5 本によって読み方を変える
じっくり読む本と知識と情報さえ得られれば良い本とのメリハリをつける読み方です。
読むに足るいくつかの本をしっかり読んで身に付けておけば、他のたいていの本はその範疇に収まるので、知っていることを時間かけずに確認する読み方が可能になってきます。
その6 全体の構造を把握する
部分で気が利いたフレーズを覚えても、いざというときに使える知識にはなっていません。読んだことを使いこなすためには、課題から結論に至るまでを著者と共有し、文脈と共に理解しなければなりません。
そうなると、一度読んだ文章を再び読まなくても眺めるだけで意味がわかるようになります。