ビジネスマンの皆さまへ捧げる読書日記

私が読んだ本のなかで役に立ちそうなものを紹介します

「インテグレーティブ・シンキング」を読んで

問題解決のための考え方を学べる本です。

では早速ご紹介します。

 

インテグレーティブ・シンキングとは

インテグレーティブ・シンキングとは、相反する考えを並立させ、対比させ、検討する能力である。真っ向から対立する二つの選択肢しかないように見える時でも、途方に暮れて思考停止に陥ることなく、安易に二者択一に走ることなく、両者のせめぎ合いの中から、どちらも上回る新しい解決策を練り上げる。このプロセスを、インテグレーティブ・シンキング(統合思考)と呼ぶ。

A か B しかないように見えるが、A にも B にも欠点がある、という状況に直面していることが多い。そんな時 A と B の両方を統合的に考えることができれば、安易な二者択一で妥協せず、創造的な打開策を導き出せるはずだ。

 

インテグレーティブ・シンキングとは、相反する二つの考えを同時に保持し、対比させ、二者択一を避けて、両者の良さを探り入れつつ両者を上回る新しい解決に導くプロセスを意味する。

 

インテグレーティブ・シンキングの特徴

重要なファクターを抽出するときに幅広く目配りをする

重要なファクターの数が増えれば、考えるべきことは多くなり、問題は複雑化する。だが、混沌を歓迎して、事態が錯綜しているのは、重要なファクターを取りこぼしていない証拠だ。最善の答えは混沌の中から生まれることを知っている。どれほど複雑に見えても、色々な角度から検討するうちに必ず答えが浮かび上がって来るのだ。

ファクター同士の関係を深く掘り下げる

A が増えたから B が増えたといった直線的で単純な関係を読み取るだけでは満足せず、なぜ A が増えたのか、A 以外に原因はないのか、違う関係性は存在しないのか、様々な方向に鋭く目を向ける

決定に至るまでの検討方法

問題を小分けにしてパーツごとに考えるやり方を採らない。問題をそっくり丸ごと頭に入れたまま、個々のパーツを吟味する。

妥協をしない。

どこまでも最適解を求め、選択肢を対比させる中から創造的解決を紡ぎ出す。

 

 

満足がいく解決策を見出すことが自分の役割であり責任であると受け止める

なかなか「これだ」という答えに行き着かなくても、周囲のせいにせず、「まだ十分に考え抜いていないからだ。もっと広く、もっと深く、もっと大胆に考えなければいけない」と自分に言い聞かせている。業界で常識とされていた二つの選択肢に直面しても「今どちらかを選ぶしかない」とは思わずに「もっと考えればもっといい選択肢がある」と強い気持ちで立ち向かった。広い視野をとって多くの角度から考えることで、創造的解決に結びついている。

 

OR 思考ではなく、AND 思考で望むこと

ものごとを単純化すれば、楽にはなる。だが単純化や専門化はインテグレーティブ・シンキングの大敵であり、意思決定のあらゆるプロセスに悪影響をもたらす。まず、重要なファクターに幅広く目配りせずに絞り込んでしまうから、解決への道がはじめから限定され、安易な妥協に繋がりやすい。

インテグレーティブ・シンキングでは、常に全体像を頭に入れて細部を考えることが前提である。

インテグレーティブ・シンキングでは、複雑さを愛する。複雑な問題を複雑なままに解こうとするのだ。

 

視点ー状況や問題をどう捉えるか

自分が置かれた状況をどう捉えるか(外への視点)、自分はどんな立場で何を目指すのか(内への視点)

ある状況を解決するための道はいくつもある。ただし、最初に選んだ道が解決に直結するケースは滅多にない。

 

インテグレーティブ・シンキングの達人の物の見方には6つの共通点がある。

3つは外への視点、3つは内への視点である。

第一に、既存のモデルが絶対だとは考えない。

視野を広くとって、それまで見落とされていたファクターを探すべきだと考える。私たちが認識する現実は、現実の一部を映した虚構のモデルにすぎない。そのモデルは重要な点で不完全だということである。

第二に、相反する選択肢や対立するモデルの存在は問題解決にとって有益であり、恐れる必要はない。

相反するモデルの存在は、問題解決への新たな糸口を与えてくれる。相反するモデルの存在を受け入れ、そこから学ぼうとする姿勢が大切である。それぞれのモデルには各人が見た現実が反映されている。したがってそれらを識別できれば、思いがけない重要なファクターを発見でき、創造的解決への道が開けるはずだ。

第三に、より良いモデルは必ず存在する、まだ見つかっていないだけだと考える。

自分の見方だけが正しくて他は全部間違っていることはまずない。どの見方もどこか偏っていたり歪んでいたりするのが普通である。衝突は当然予想されることであり、恐れるに当たらない。

常により良い答えを求めて試行錯誤を繰り返し、自分の今の答えは正しいのか、自問し続ける。答えば間違っていたとわかるのは、前進であると捉え、また新しいモデルを考える。

対立にこそ価値を見出し、見方が一通りしか存在しない時は逆に当惑し、何かがおかしい、見落としがあるに違いないと考える。

自分の固定的な見方は何を根拠にしているのか、なぜそういう見方にこだわっているのかをよく考えること。

第四に、より良いモデルが必ず存在するだけでなく、自分にはそれを見つけ出し、実行する能力があると信じている。

成功体験を重ねることで「自分にはより良いモデルを発見する能力がある」という自信がつく。複雑な問題に立ち向かうスキルも、焦らず粘り強く追求する心構えも、経験を積まないとなかなか身につかない。

自分の考えがどう展開していくかを常に意識し、どんな経路を辿って結論に到達するかを追跡する。どんな根拠からその結論に至ったか、そこでは何が重要なファクターで、ファクター同士の関係はどうなっているのかを事後に分析できる。分析をすると、自分が広い視野から様々なファクターを検討して決定に至ったのか、それとも偏ったファクターにだけ注目して全体像を見失っていたかがわかる。

自分の意思決定から学ぶためには、決定にいたるまでの思考プロセスを明確に把握しておかなければならない。

自己の正当化や自己弁護を防ぐ方法は、決定を下すまでの論拠と予想される結果を事前にメモしておくことだ。そうすれば、あとでつき合わせて確認できる。思い通りの結果にならない時は、自分の思考プロセスを見直し、失敗の原因を探る良いきっかけになるはずだ。

第五に、混沌を恐れずに、複雑さの中でこそより良い答えを見つけ出せると考える

「いつも想像力を働かせて全体像を描くようにしている。大事なのは、深く広く見ること。複雑な要素に分け入って答えを探すとき、混乱をむしろ歓迎するのだ」

リバースエンジニアリングは、複雑な状況に立ち向かい、新しい角度から物事を見る習慣を身につける上でも効果的だ。結果を引き起こした行動、さらにその行動を招いた思考へと遡って分析する。逆行して考えることで、どこで重要なファクターを見落としたのか、あるいはファクター同士の関係性を見誤ったのかがわかる。

第六に、より良いモデルにたどり着くまで、時間がかかっても決してあきらめない

難しい問題に直面した時は、ひたすら時間とエネルギーを投入する。ずっとそのことを考え続け、進んでは後戻りする。なかなか答えを出せなくても、焦らない。これしかない、というものにたどり着くまで頭を絞る。

 

6つの共通点から、問題がどれほど困難であっても、粘り強く考え抜けば必ず解決できると信じている。だから不満足な選択肢でも妥協することはない。

もう一つの特徴として、複雑な状況を前にしてもうろたえないことが挙げられる。全体像が自ずと明らかになり、その中からパターンが浮かび上がって来るのをじっくり待つのだ。

 

インテグレーティブ・シンキングの能力を開発する 3 つの思考ツール

発想推論

仮説生成推論とも言われ、「A は XX でありうる」という仮説を導き出す推論である。この点が、「AはXである」という宣言的知識を導き出す推論と大きく異なる。論理的な仮説生成を行うと、現実の試練にも十分耐えられる仮説を導出できるので、困難な問題に創造的解決を見つける役に立つ。

発想推論では既存モデルで説明できない現象を最も適切に説明しうる仮説を立てることを目指す。発想推論は、とりあえずその時点で最も適切な仮説を提出する。「与えられたもの」から「与えられていないもの」へ飛躍するためには、この推論法が有効である。

仮説生成の演習をする時、まず既存のモデルで説明できない現象に注目すること、そこから何か手がかりを掴むことをを教える。次にその手がかりを使って、説明可能な新しい仮説を立てる。さらにプロトタイプを作り、新たなデータを集めて仮説を修正する

因果モデリング

因果モデルを組み立てる時、因果方向は二方向から捉えれる点に注意をしなければいけない。一つは原因を基点する見方。もう一つは結果から逆行する捉え方。

共感型質問

自分のモデルと真っ向から対立するモデルに直面した時、達人はそれを敵視せず、共感を抱き、理解しようとし、そのために質問をする。

相手の主張を引き出すような質問をすれば、対話が成立し、相手のモデルから学ぶことが可能にある。どんなモデルにも何かしらのヒントが隠されている。それを発掘できれば、創造的解決の材料になる。

共感型質問は、論争のための質問ではない。相手の見方を理解するための質問「あなたがそのように考えるようになったのはなぜか、何か特別な理由があれば教えていただけますか」自分の理解不足を補うための質問「その点がよくわからないのですが、何か具体的な例で説明してただけますか」、共通認識を探すための質問「そのところは私の考えと似ているように思いますが、いかがでしょうか」

あくまで対立するモデルを深く理解するための質問であるから、鋭くても良いが、攻撃的であってはならない。できるだけ色々な角度から掘り下げて、他のモデルに潜んでいた重要なファクターや因果関係を発掘するよう務める

対立するモデルかが学ぶからこそ創造的解決は生まれるのだ。

 

 

インテグレーティブ・シンキング

インテグレーティブ・シンキング

  • 作者:ロジャー マーティン
  • 出版社:日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2009-08-22